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「この子が例の子です」
周り一面、大理石のようなものが埋められた部屋で巫女服を着た少女がいる
腕の中には生まれて間もない赤ん坊が抱えられていた
安らかに、静かに眠っているようにみえたが、赤ん坊は息さえ・・・
いいや心臓さえも動いていないのだ
「先日、生まれたばかりの、フォンウェンコット家の双子の妹君です
生まれながらに魔力が強すぎて赤ん坊の器では受け止める事が出来ずに
今朝、なくなりました」
細く白い指が赤ん坊の頬を摩りふわりと優しく包み込んだ
まだ首も据わっていない生まれたばかりの赤ん坊
不意に目頭が熱くなった
何の意味も無く涙が出てくるのだ
私達にとって、とてもかけがえの無い何かを失った気がする
少女は誰かの言葉を聞くかのように、そっと目を伏せ耳を傾けた
「それが眞王の御意思なのですね・・・」
少女は赤ん坊を地に寝かし、大きく背伸びをするように両手を広げた
「お呼びしましたか、巫女様」
大理石の部屋の扉が静かに閉まり、辺りが薄暗くなる
巫女と呼ばれた少女はゆっくりと振り向き、入り口に居る青年を見る
「ようこそ、お越しくださいました。貴方をお呼びしたのは他でもありません。
この魂をここではない異世界、地球と言う地に運んでいただきたいのです。
これは眞王の御意思です」
巫女が包み込むように持っている瓶の中に、真っ白で丸く、とても儚いものが浮いている
「分かりました、眞王の御意思とあらば。大切に運ばせていただきます」
「えぇ。必ず無事に運んでくださいね」
chapterT:To the different world ・・・
桜が散り終わり青々とした葉っぱが生い茂り始めた今日この頃
あたし は下校のチャイムをバックに、自転車置き場へと向かった
「あ〜・・・今日に限って補修ですかぁ?勉強したら今よりも頭悪くなるよ」
今から補修をサボり、さっさと帰って、5時から始る時代劇を見る予定だ
時代劇と言っても結構胡散臭いけど、これがまた見出したら結構ツボにはまる一品!
「今回は、桃太郎侍が敵地に乗り込む回だから見逃せないんだわ」
上機嫌気味に独り言を楽しんでいると前方に見えるは
中学1年からずっと同じクラスの、渋谷 有利原宿不利ではないですかぁ
花の高校生になった今も同じクラスでフィーバー中(?)
自転車で走り出そうとしていた有利に駆け寄る
「やほ〜ぃ。おひさぁ!!1時間前ぶりだね」
「ぎゃー!!自転車のまんまこっちに来るなーーー!!」
「あ、すんまそん」
有利に自転車ごと突っ込むと彼はよろめき、フェンスにぶつかりそうになる
何とか持ちこたえた有利。
これくらい出来なきゃ男じゃないな。うん。
一人で納得していると相手は当然怒り出すわけで・・・・
「こらぁ!!!
いつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつゲホッゴホッ!
・・・・とにかく、突っ込むな〜〜〜〜。ましてや自転車ごと来る奴がいるかよ」
むせかえりながらもよくもまあ早口で喋れる事。
尊敬しますわ兄さん
「まあ、これもあたしなりのスキンシップ?
マックのドナルドで言わせると『ランランルー』みたいなかんじ?
と言うわけであたくしは、補修をサボってる身でありまして、
一刻も学校をおさらばしたいので有利ん家まで競争っ!!!」
自転車に飛び乗り走り出すあたし
「ランランルーはドナルドのクセであって、スキンシップじゃないぞ!
って、。まさかまた俺の家に上がりこむのか〜?!今日は大事な野球の試合があるんだからな!」
野球はやめたと言ってはいたが、観戦するのは止めていなかったらしい
有利も遅れて自転車をこぎ始めた
自分的には、時速30キロぐらい出してる勢いで有利の家に到着!!
今回もテレビは私がいただいたぁ★
有利の家には中2の時からずっと御世話になっていて
それ以来、週に2・3回お邪魔しているのだ
「それにしても有利は遅いなぁ。勝手に上がり込んじゃうぞ」
数分待ったが来る気配も無いので探しに行くことにした
勝手に上がりこむのはさすがに駄目でしょう
水戸黄門の鼻歌を歌いながら、自転車で爽快に走っていると
目の前には有利の自転車が止まっていた
「あたしに負けたからって拗ねちゃったのかね。
かー!コレだから子供は嫌だねぇ!
って何歳だよ自分ーぎゃははははは・・・・・・・
あー空しい・・・」
と、一人ボケ一人つっこみをしながら自転車から降りた
自転車が止めてあった場所は、子供達の永遠の遊び場、公園
あたしも一旦自転車を止めて公園内を詮索していると、
不良に絡まれてる有利ちゃんはっけーん!!
まあ見事に見覚えのある顔ですわぁ
不良は中学の時のツッパリ君たちですよぅ
あいつ等とは縁があるんだか無いんだか・・・。
正義感の強い有利は今回も、誰かを助けようとしたに決まってるじゃないですか
それのとばっちりだね
一向に助ける気は無いあたしは影ながらも応援していた
「がんばれ〜負けるな〜力の限り〜生きていろ〜♪」
以上有利へ捧げる応援歌でした
ってか有利ちゃん一方的に追い詰められてる感じ?
あー女子トイレへと突入!!禁断の世界!?
「幼馴染として助けなきゃ」
駆け出し始めた足は、途中縺れながらも、何とか女子トイレに駆け込む事が出来た
でも駆け込みトイレは危険です。
前方に居た不良にタックル〜!!
飛び込んだ先は敵陣のど真ん中
有利があたしの名前を呟くが、不良達は有利を便器の中へ入れようとする
有利は有利で、抵抗している。
だが、その行為も空しく数人の力には及ばなかった
手を出す事が出来なかったあたしは、彼の手を引っ張り便器から引き上げようとした
が、逆に引きずられるあたし!
「有利・・・力強すぎだよ・・・・ぅわぁ!!」
おいおい有利・・・もしかして吸い込まれてる??
便器の中に吸い込まれる有利と、一緒にあたしも吸い込まれる
え?なに??トイレから流されるのってあり??
あたしって史上初水洗トイレに流された女?!
煌く様なスターツアーズ
えっとこれ、帰りの切符あるんでしょうか?
途中で有利をつかんでいた手が離れてしまう
「有利ーーーーーーーーーー!!!帰りの切符持ってるーー!!?」
「これは電車じゃないぞーーーーーー!!!」
有利!電車じゃなくてスターツアーズの切符だよ!
これからなにが起こるのーー?!?